DNAメチル基転移酵素3a欠損における低メチル化転写終結部位での転写終結異常の同定
白井 均樹 氏
広島大学大学院 理学研究科 生物科学専攻
【要旨】
発表者はエピジェティクスに着目し、研究を進めてきた。その研究成果を発表する。
真核生物のゲノムDNAに付加されるメチル化修飾は、プロモーター領域において、転写を抑制するためのエピジェネティックマークとして機能している。しかしながら、転写終結部位(TTS)におけるDNAメチル化の影響については未だ明らかにされていない。TTSに重なっている低メチル化領域と転写終結の関係性を調べるために、私たちは二つの方法を用いた。データベースに存在するDNAメチル基転移酵素3a(Dnmt3a)欠損マウス細胞の公開データを用いた解析とゼブラフィッシュモデルシステムを用いた解析である。
メチロームとトランスクリプトームデータを用いたバイオインフォマティクス解析により、TTSと重なっている低メチル化領域が存在すると、TTSの下流で発現が上昇し、キメラ転写産物が増加することを発見した。この現象は、AgRP神経細胞で見られたが、MEFやES細胞では見られなかった。さらに、ゼブラフィッシュDnmt3aa変異体を用いた解析により、生物実験的に、リードスルー転写産物とキメラ転写産物を検出できた。本研究により、低メチル化されたTTSにおいて転写終結異常が生じる現象が明らかになった。
日時: 2021年9月1日(水) 16:00~17:00
場所: Zoom
連絡先: 理学系研究科 生物科学専攻 生物情報科学科
黒田 真也(skuroda AT bs.s.u-tokyo.ac.jp)
参加希望の方は
info.kuroda-lab [at] bs.s.u-tokyo.ac.jp
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